離婚後の子どもの養育に関わる制度を検討している法制審議会(法相の諮問機関)で、養育費を受け取りやすくする議論が大詰めを迎えている。父母間の取り決めがなくても一定額を請求できるようにすることや、養育費を払わない人への差し押さえをしやすくする制度の導入が焦点だ。
2021年の厚生労働省の調査では、母子世帯で、父から養育費を「現在も受けている」のは28・1%にとどまった。父と養育費の取り決めをしている世帯は46・7%。取り決めていない理由は「相手と関わりたくない」が34・5%で最も多く、次いで「支払う意思がないと思った」が15・3%だった。
法制審では、養育費に関する合意や協議がなくても、「子の最低限度の生活の維持」に必要な額を「法定養育費」として請求できるようにする方向で検討されている。父母間の協議で養育費を定める原則は維持しつつ、協議が調わない場合のセーフティーネットと位置づける。
昨年11月の中間試案には、養育費の取り決めを協議離婚の要件とする案が盛り込まれた。だが、家庭内暴力(DV)の被害などを念頭に、協議離婚のハードルを高くすることには慎重な意見が多く、その後の修正案では見送られている。
決められた養育費を払わない人への対策も議論されている。養育費は、「覚書」など当事者間の私文書で取り決められるケースが少なくない。ただ、私文書で取り決めた場合、差し押さえをするには、裁判所で調停や訴訟を起こす必要がある。
そのため、法制審では他の債権よりも優先的に請求できる「先取特権」を与える方向で検討している。先取特権を認めれば、調停などを経なくても一般的な子どもの生活に必要な金額に限り、給与などを差し押さえられるようになる。
法制審は来年1月にも要綱案をとりまとめる見通し。政府は、早ければ来年の通常国会に関連法案を提出する方針だ。
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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