首相、衆参同日選見送りへ 来週最終決断 消費増税は予定通り(産経新聞)

 安倍晋三首相は10日、夏の参院選と合わせて衆院選を行う衆参同日選を見送る方針を固めた。首相が10月の消費税率10%への引き上げを延期し、同日選に踏み切るとの観測もあったが、予定通り増税する方針だ。26日までの今国会の会期は延長せず、参院選は「7月4日公示-21日投開票」の日程で行われる。

 首相は12~14日の日程でイランを訪問した後、19日で調整している党首討論などの国会日程を踏まえ来週前半に最終決断する。公明党の山口那津男代表は9日の街頭演説で参院選に関し「おそらく7月21日投票になる」と述べた。

 今回の参院選は、自民党が過去最多の65議席を獲得した平成25年参院選で当選した議員が改選を迎える。改選1人区を中心に苦戦するとして、衆院選との選挙運動の相乗効果や野党の分断などが期待できる衆参同日選論が浮上していた。

 しかし、50%前後の内閣支持率などを背景に自民党が5月以降に実施した情勢調査を分析した結果、参院選単独でも与党が堅調に議席を確保できると判断した。菅義偉(すが・よしひで)官房長官は野党が内閣不信任決議案を提出すれば解散の大義になるとしていたが、与党は否決する。

 首相は今月28、29日に大阪市で開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)で議長を務めた後、参院選に臨む。

 安倍晋三首相にとって衆院の解散権は、政権運営を有利に進めるためのカードであり、常に念頭に置いている。そんな中、首相周辺からは春以降、10月の消費税率引き上げや米中貿易摩擦などの影響で世界経済が不透明さを増す前に衆参同日選を断行すべきだとの意見が出て「解散風」に拍車がかかった。首相も一時、解散の断行に傾いた。

 一方、解散風が吹くと野党は1人区の候補者調整を加速し、全てで一本化に合意。衆院選に向けた協力も急いでおり、与党幹部は「無理をして解散する必要はない」との認識を示す。解散風によって自民党の衆院側が引き締まる効果も表れた。

 同日選は衆参両院で議席を減らすリスクもある。公明党も同日選への反対を主張し続けてきた。しかも経済指標が底堅い中での消費税増税延期は難しく、期待された日露平和条約締結交渉もロシア側の態度が硬いため、大きな進展が見込めない情勢にある。

 首相は日本人拉致問題解決のための日朝首脳会談の実現を目指し、皇位継承に伴う儀式や東京五輪・パラリンピックなどの重要な政治課題に今後も対処しなければならない。首相が意欲を示す憲法改正を実現するためにも引き続き「解散カード」を切るタイミングを見計らうことになる。(長嶋雅子)

Source : 国内 – Yahoo!ニュース

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