能登智彦、戸田和敬、興野優平、黒田陸離
「政治とカネ」の問題で寺田稔総務相の事実上の更迭が20日、決まった。政治資金規正法や公職選挙法を所管する総務省トップの立場にありながら次々と発覚した疑惑。閣僚の辞任は1カ月で3人目だ。地元では落胆の声のほか、辞任の決断の遅さや岸田文雄首相の姿勢を問う声が相次いだ。
寺田稔氏の地元、衆院広島5区では落胆の声が漏れた。呉市で長年支援してきた飲食店経営の女性(58)は、2019年の参院選をめぐる河井克行元法相夫妻による買収事件時を念頭に、「党が実態解明を続けるべきだ、と主張するなど、外見は細身だが内なるパワーを感じた」と評価していたという。
だが、疑惑の噴出に「あっけにとられるばかりだ。待ち望んでいた地元からの大臣就任だっただけに悲しいが、政治家としての資質を問われても仕方がない」。
呉市では18年の西日本豪雨で関連死を含め30人が犠牲になった。土石流にのまれた市原集落の中村正美自治会長(73)は「被災地は復興途上。政権入りした寺田氏の手腕に期待していただけに復興にブレーキがかかるのではと心配だ」と話した。「後援会の問題を『詳細を承知していない』と他人任せにせず、神経をとがらせておかねばならなかった。また政治とカネの問題か、と広島の政治家のレベルは低いと思われてしまう」と残念がった。
足元では日本製鉄の製鉄所閉鎖が来秋に迫り、企業撤退の動きも相次ぐ。呉商工会議所の若本祐昭会頭(66)は「初当選の時から付き合いがあるが、まじめな印象しかない。呉は厳しい状況にあり、元気にしてほしいという寺田さんへの思いは変わらない」と語った。
被爆者「理解ある人なのに」「G7サミットまで持つか」
被爆2世の寺田氏は、今年8月に米ニューヨークで開かれた核不拡散条約(NPT)の再検討会議で首相補佐官として核軍縮・不拡散を担当した。会議前の朝日新聞の取材に「最大の問題は核保有国にちゃんと核軍縮をさせることだ」などと語っていた。
それだけに、被爆者らからは…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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