15日午前11時25分ごろ、和歌山市雑賀崎(さいかざき)の雑賀崎漁港で、衆院補選の応援演説で訪れていた岸田文雄首相の近くに筒状のものが投げ込まれ、間もなく爆発した。首相にけがはなかったが、現場にいた30代の男性警察官1人が左手を切るけがを負った。和歌山県警は、演説を妨害したとして、現場で取り押さえた兵庫県川西市けやき坂3丁目の職業不詳、木村隆二容疑者(24)を威力業務妨害の疑いで現行犯逮捕し、発表した。木村容疑者は事件について「弁護士が来てから話します」と話し、以後は黙秘しているという。
木村容疑者の逮捕容疑は15日午前11時25分ごろ、雑賀崎漁港で、岸田首相が立っていた場所近くに、爆発物を投げ込み、演説を妨害したというもの。投げ込まれた後、間もなく爆発し、周辺に白煙が漂った。
現場の演説会場にはもう1本、筒状のものが残されていたが、県警は本人が所有していたものかを含め、「現時点で把握できていない」としている。
岸田首相はこの日午前11時過ぎ、衆院和歌山1区補選の応援演説のために現地入りし、同漁港でとれる海産物を試食。その後、演台に歩いて移動し、演説が始まる前に爆発物が投げ込まれた。爆発物は弧を描いて、首相のそばに落下。異変に気づいた警護員とみられる男性が盾のようなものを取り出し、首相に覆いかぶさり、急いでその場から離れた。
現場には支持者ら約200人が集まり、一時騒然となった。木村容疑者は犯行時、首相から約10メートル離れた場所にいて、群衆に紛れる形で他の人たちと同じように立っていたとみられる。首相と群衆の間を遮る壁などはなかった。
首相の和歌山入りについて、県警は警護計画書を作成。事前に警察庁の確認を受けていた。首相の周辺にはこの日、県警の警察官のほか、警視庁で首相を警護するSPらが配置されていた。県警は「結果としてこういうことになったので、警護の不備があったかどうか、検証しないといけない」と説明した。
奈良市で昨年7月に起きた安倍晋三元首相銃撃事件では、前日に安倍氏の演説予定が奈良県警に伝えられ、警備計画書が作られた。事件後、都道府県警が担う要人警護は、すべての警護で双方が危険性を情報収集、分析した上で、都道府県警による計画案を警察庁が審査する仕組みに改められていた。今回の計画書の作成時期について、県警は「そこまで切迫していなかった」と述べた。
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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