首相も令和も笑い飛ばす　タブー芸、あの年に生まれた

　「笑ってはいけない」と言われるほど笑いたくなるのが人間だ。真面目ぶった政治家やお堅いニュースには、笑えるネタが潜む。そんなニュースを飯の種にしている芸人集団「ザ・ニュースペーパー」は、ニュースをネタにしたコントの興行で各地を回っている。テレビなどでは流せず、舞台だけで披露する禁断のネタもある。メンバーの福本ヒデ（４８）と山本天心（５７）に、禁忌に挑み続ける思いを聞いた。

自粛の国の地下芸

　舞台でだけ披露する芸は、今年の大きなニュースとなった３０年ぶりの代替わり。このテーマは、昭和の終わりに生まれたグループの出自に深く関わっている。

　発端は１９８８年にさかのぼる。昭和天皇の病状悪化で歌舞音曲の自粛ムードが広がっていた時代。お笑いイベントは中止が相次いだ。仕事にあぶれた芸人たちは東京・新宿の地下の劇場に集まり、ゲリラ的にお笑いライブを開いた。それが同年のグループの誕生のきっかけだ。

　結成当時からのメンバーの山本は「もうこんな時代笑い飛ばそうってとこからスタート」と振り返る。旗揚げ公演で披露したコントのテーマは「笑っちゃいけない」。通行人が怪しげな男に「笑いたいんだろ？」と声をかけられ、こっそり金を払って笑いを買う。「街が混沌（こんとん）と沈んでいた時代、客の笑いは爆発的だった。地下劇場でこんなん見ていいのって。皆同罪っていう地下芸だった」

首相はつらいよ

　グループは昨年３０周年を迎えた。メンバーは入れ替わりつつ、現在は松下アキラ、福本ヒデ、竹内康明、山本天心、浜田太一、石坂タケシ、土谷ひろし、桑山元、田中学が活動。複数の人物の役を掛け持ちで演じている。安倍晋三首相や菅義偉官房長官などの国内政治家、トランプ大統領や金正恩（キムジョンウン）朝鮮労働党委員長といった海外の首脳、錦織圭や羽生結弦などのアスリートにもなりきる。

　安倍首相役の福本は広島出身。…

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