首相祝う横断幕、役所が掲げるのはアリ? 今回で4回目

 連続の在職日数が歴代最長を更新した安倍晋三首相の地元の山口で、県庁や下関市役所に祝賀の横断幕が掲げられた。政治家が首相を長く務めることは、役所が祝う公の慶事なのだろうか。そんな話題がSNSなどで盛り上がっている。

 首相は24日で連続在職日数が2799日となり、自身の大叔父・佐藤栄作氏を超えて憲政史上最長となった。山口県はこれを受けて、県庁玄関ホールと県政資料館(いずれも山口市)、県下関総合庁舎(下関市)の3カ所に在職最長を祝う横断幕を掲示。制作費と取り付け費の計22万円を公費から支出した。

 県の担当者は「県庁の総意だけでなく、県民の皆さまと喜びを表現したいと考えた」と説明。10月9日まで掲げられることになった。下関市も市役所に同様の横断幕を掲示した。

 このニュースがSNSなどで賛否を巻き起こしている。ツイッターでは「政治的に中立であるべき行政がやることとは思えない」「気持ちは分かるが、県庁が特定の政治家のことを祝うべきではない」など行政機関としての中立性への疑問の声が相次いだ。下関市出身のタレント・田村淳さんも「県庁の総意… 異を唱える人はいなかったのか?」と発信した。

 支持する意見は「山口県民として率直に誇らしい」「地元出身の総理をお祝いするのは悪くないでしょう」「おめでたいことをお祝いしちゃダメなの?」など、長期在職を地元にとって喜ばしい出来事と受け止めるものが目立つ。

 県に直接寄せられた電話やメールは、26日までに数十件あった。担当者によると、「首相の在職最長を祝いたい」「税金を使ってやることか」と賛否が分かれたという。

 こうした議論に対し、村岡嗣政(つぐまさ)知事は26日の記者会見で「国の代表としての総理大臣。政治的な面というよりは、そういった立場で活躍されていることをお祝いしたい」と語った。

自治体の行為、線引きあいまい

 憲法は「公務員は全体の奉仕者」と規定しており、地方公務員法は、公務員が特定の政党や内閣などを支持する目的で行う政治的行為を制限している。ただ、政治家が首相や大臣に就任した時などに、地元で祝賀ムードが盛り上がるのは常で、そこに地元自治体が加わることもある。2007年に福田康夫首相が誕生した時も、地元の群馬県高崎市の市役所に「祝 福田総理誕生」の垂れ幕が掲示された。自治体の行為はどこまで許されるのか、線引きはあいまいだ。

 山口県が安倍首相に関する祝賀…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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