2回目の緊急事態宣言が出ている首都圏の1都3県で、宣言後の約1カ月間に飲食店を訪れた客は、昨年の同じ時期と比べて7割以上減ったことが、飲食店の予約や顧客管理のシステムを販売する「トレタ」(東京)の調査でわかった。昨春の緊急事態宣言時と比べると減少幅が小さく、オフィス街周辺より住宅街に近いエリアの方が減少幅が緩やかだった。
トレタのシステムを使う全国約1万店のうち、東京、埼玉、千葉、神奈川の計約3千店のデータを分析。2回目の緊急事態宣言初日の1月8日から4週間(2月4日まで)の来店客数は、昨年の同じ時期に比べて73・5%減った。
昨春の緊急事態宣言期間(4月7日~5月25日)を通じた客数は、前年の同じ時期と比べて90・2%減。2回目の宣言期間では減少幅が小さくなっている。
エリアで明暗
来店客数を時間帯別に見ると、営業時間の短縮が要請されている午後8時以降は、昨年の同じ時期に比べて93・2%と大幅に減少。一方で、昼食時間帯を含む午前11時~午後5時は44・3%減と、減少幅が比較的小さかった。同社の分析担当者は「ランチでの利用は拡大傾向にある。ランチからディナーまで通し営業をする店や、営業時間を前倒しする店が増え、『昼飲み』をする人も増えてきたようだ」と話している。
エリア別の傾向を見ると、2回目の宣言が出た直後の1週間とその1カ月前を比べると、丸の内などを含む東京駅周辺では72・9%減、新橋駅周辺では71%減。一方目黒区は57・1%減、世田谷区は53・1%減で、オフィス街より住宅地に近いエリアの方が減少幅が小さかった。「リモートワークで自宅周辺での飲食機会が増えている」(担当者)と見ている。
また、1月13日に緊急事態宣言の対象区域に加わった関西では、同様に大阪・ミナミのなんば駅周辺は37・7%減、大阪・キタの梅田駅周辺は52・3%減、神戸の三ノ宮駅周辺は57・3%減。首都圏と比べて減少幅が小さかった。
GoToイートの影響は
データからは国の飲食店支援策「Go To イート」の影響も読み取れた。
イート事業のうち、グルメサイトから予約して飲食するとポイントがつくキャンペーンは、昨年10月1日に開始。直後から来店客数は急増し、開始後1週間の客数は、1回目の緊急事態宣言直後の1週間と比べて東京駅周辺で約30倍、新宿駅周辺で約26倍、梅田駅周辺で約19倍になった。
11月に入ってすでに「第3波」の感染拡大は顕著になっていたが、客足は伸び続けた。ポイント付与の予算が早々に尽きる見通しとなったため、大手の予約のサイトは11月中旬までに新規の予約受け付けを停止。それまでに、全国の客数は、新型コロナの影響がなかった前年同時期の87・8%まで回復した。(牛尾梓)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル