首都圏では中学入試に続き、高校入試が始まっている。1月からスタートした埼玉や千葉では、志願者を増やした私立高校も目立つ。一方、首都圏の公立の全日制高校の志願者の割合は昨年並みかやや低くなる見込み。2月10日から、東京、神奈川の私立高校入試も始まるが、「私立は昨年より厳しい入試になりそうだ」と塾関係者はみる。(宮坂麻子、川口敦子、高浜行人)
都立の推薦入試、倍率は過去最低
2月2日、都立高校の推薦入試の合格発表があった。男女ともに応募倍率が最も高かった都立青山高校(渋谷区)では、午前9時半から掲示板に合格者の受験番号が張り出された。
事前にウェブ上で発表されたが、あえて見ないで訪れた墨田区の親子は、受験番号を見つけて抱き合った。「周りには私立志望の子もいるけれど、僕は都立、私立じゃなく『この高校』に入りたかった」と男子生徒(14)。私立の大学付属高も出願済みだが、父親(47)は「理系文系さえ決められない段階で大学まで決まるのは……という思いもあった」と話す。
品川区の女子生徒(15)は、3人きょうだいで兄が私立大をめざして受験中。私立高の授業料助成は所得制限ギリギリで対象から外れるため、「費用面で都立に」と母親(46)。「推薦で合格できるよう、コロナでもすすんで行事に参加した」と女子生徒はいう。
首都圏の今年の公立中学の卒業予定者は、学校基本調査では、少子化にもかかわらず1都3県とも増加し、全体で昨年より8千人以上増える。一方、公立高校全日制の志望者の割合は、千葉を除き、昨年並みかやや下がると見込まれる。都立高(全日制)の推薦入試の応募倍率も2・54倍で、普通科に推薦入試が導入された1995年度以降、最低だった。
神奈川での昨秋の進路希望調査では、中学卒業予定者に占める公立高全日制希望者の割合が、昨年より0・9ポイント低い77・4%に。今月1日発表の公立高の志願者数集計(志願変更前)では、全日制の平均倍率は1・17倍で前年の1・18倍から低下した。東京では、都中学校長会の進学希望調査によると、卒業予定者に占める都立高全日制希望者の割合が昨年より0・5ポイント低い63・9%に(1月7日発表)。埼玉の進路希望状況調査では、卒業予定者のうち公立高全日制希望者は65・1%で、昨年より0・3ポイント下がった。
千葉では昨年、新入試制度の導入で公立離れが進んだが、今年は、進路志望状況調査によると卒業予定者のうち公立高全日制志望者の割合は71・0%で、前年から0・5ポイント増えた。市進学院・学校情報室の野沢勝彦さんは「首都圏では全般的に私立志向が続いている。公立入試が1本化されて2年目の千葉も、一昨年並みまでは戻っていない。私立高の授業料助成の拡充に加え、コロナ禍のオンライン授業などの柔軟な対応、大学受験への不安などが背景にあるのでは」とみる。
私立校入試厳しくなる? 早慶、MARCHは?
では、私立高校の今年の入試はどんな状況なのか。
早稲田アカデミー高校受験部の川口勇樹主席は「昨年はコロナ禍による出願校数の絞り込みがあったが、今年は違う。大学付属校を中心に私立人気が戻ってきているので、厳しい戦いになりそうだ」とみる。
入試が始まった埼玉の私立高では、立教新座が、出願者を昨年の1296人から1524人に増やした。慶応志木や早大本庄の志願者も増えているという。千葉も同様の傾向で、渋谷幕張は114人、市川は231人、出願者が昨年に比べて増えた。
東京では、早稲田実業が1学…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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