沖縄の首里城とパリのノートルダム大聖堂。2019年に火災に見舞われ、復元中の二つの文化遺産をテーマにした「展覧会」がネット上にオープンした。会場で展示を見て回るような流れで、「どう復元するのがよいのか」「文化遺産の真の価値とは何か」といった課題を考えることができる。日仏の専門家チームが2年がかりで完成させた大作。きっかけは1人の日本人の熱意だった。
「展覧会」は、画面の右側に首里城、左側にノートルダム大聖堂が並び、スクロールして読み進める構成。写真や古文書などの画像約350枚と、展覧会風の短い解説文を日・仏・英の3カ国語で収める。
プロローグで二つの文化遺産を紹介。火災の経過を記録した「灰燼(かいじん)」、これまでの破壊や修復の歴史をたどる「不変性と変容」、火災後の社会の反応をまとめた「想(おも)いと記憶」の「部屋」が続き、進行中の復元作業が最後に紹介される。
首里城火災の日にパリ消防旅団から那覇市消防局へ送られた手紙とその返信、首里城が心のよりどころになっていたという沖縄の人々の声なども収録。文化や建築にとどまらない内容をカバーしている。
発案したのは河野俊行・九州大主幹教授(国際文化遺産法)。火災当時は、世界遺産への登録可否を審査するユネスコの諮問機関、イコモスの会長だった。
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル