馬毛島(鹿児島県西之表市)への米軍訓練移転に伴う自衛隊基地整備を計画する防衛省は12日、日米両政府の合意事項として、馬毛島への整備計画を「決定した」と同市の八板俊輔市長に伝えた。「不同意」を訴えてきた八板氏の頭越しで進む国の計画に、地元の亀裂と動揺は広がっている。
防衛省地方協力局の担当者はこの日、同市役所を訪れ、八板氏と面会。「政府として馬毛島は候補地の段階でなく自衛隊基地の建設場として決定した」と通告した。
馬毛島で進む環境影響評価(アセス)を念頭に八板氏は「(基地を)造るかどうかを判断するためのアセスと受け止めていた。説明が唐突」と困惑を隠さなかったが、担当者は「安全保障は時間との勝負。我が国の防衛、日米同盟の強化のために一刻も早く馬毛島に自衛隊施設を整備することが必要と考えている」と淡々と語った。
八板氏は「今度、市民の受け止めを把握したい」と応じ、面会は30分足らずで終わった。
岸田政権は昨年末、「馬毛島基地」の施設整備費として3183億円(後年度負担を含む)を盛り込んだ2022年度政府予算案を閣議決定した。今月7日の日米外務・防衛担当閣僚会合(2プラス2)では、岸信夫防衛相が「早期の整備に向けて政府全体として努力していく」と表明。米側も歓迎する意向を示すと、11年の2プラス2で米艦載機の陸上離着陸訓練(FCLP)移転の「候補地」としてきた馬毛島の位置付けを正式な整備地と変更することを両国で確認した。
防衛省はこれまで「地元の理解と協力が重要」と繰り返す一方、「計画に同意できない。いったん立ち止まってほしい」と求める八板氏の訴えに耳を貸さず、アセスと並行して事業を着々と進めてきた。
昨年11月には、馬毛島でコンクリートを製造するプラント工事の入札を公告。アセスの完了を急ぎ、23年夏までにプラントを完成させたい意向だ。馬毛島の外周道路の整備工事も「アセスの対象外」と位置付けることで今月着手した。
整備に向けた既成事実化が進…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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