石川県の馳浩知事が2013年に招致が決まった東京五輪をめぐり、開催都市決定の投票権を持つ国際オリンピック委員会(IOC)の委員に対し、内閣官房報償費(機密費)で贈答品を渡したと発言した問題で、馳知事は18日、金沢市で報道陣の取材に応じ、発言を認めた上で、「私自身の事実誤認もある発言であり、全面的に撤回した」と述べた。ただ、具体的な事実関係については明確には語らなかった。
関係者によると、馳知事は17日の東京都内での講演で、当時、自民党の東京五輪招致推進本部長を務めていた際、招致をめぐり、安倍晋三首相から「必ず(招致を)勝ち取れ」「金はいくらでも出す」「官房機密費もある」と告げられたと発言。贈答品としてIOC委員の選手時代の写真などをアルバムにして、一冊20万円で約100人分作成したことなどを説明したという。発言が報道されると、馳知事は同日中に「誤解を与えかねない不適切な発言だった」との談話を出し、発言を撤回した。
馳知事は18日、記者団に、発言について「講演の中での発言の一部と存じている」と認めた。また、同日中に撤回したことについて、「文科省から指摘があり、私自身の事実誤認に基づく発言であったと確認をした」と述べた。
報道陣の質問は「どの点が事実誤認か」に集中したが、知事は「五輪招致にかかわることであり、スポーツ庁、文科省にも報告をしている。これ以上私からコメントは控えたい」「IOCの倫理規定を踏まえて招致の対応をした。これに尽きる」と繰り返した。
機密費の使用が事実であれば、「ブラックボックス」ともされる機密費の使途が明らかになるのは異例。また、多額の贈答品を贈ることは五輪招致にかかる倫理に抵触する可能性がある。(土井良典)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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