平日の午前10時、JR新宿駅(東京都新宿区)。1日の乗車人員が60万人を超える駅のごった返す構内で、ホームに上がる階段を見つめる男性がいた。
黒のポロシャツにジーパン姿。柱に寄りかかり周囲に溶け込む。通勤時間帯ならスーツ、渋谷なら若めの服。時間と場所に合う服を選ぶ。ばれると「犯人」は盗撮を諦めるからだという。
この男性は警視庁鉄道警察隊新宿分駐所の巡査部長、田中淳二さん(38)。一番の盗撮犯検挙率を誇る「盗撮捜査のエース」だ。
最初からエースだったわけではない。警察署のパトカー乗務員から2018年、鉄警隊に異動した。最初はなじみがなく、「一体何の仕事をしているのかよく分からなかった」と言う。がむしゃらに職務質問を繰り返したが、なかなか検挙につながらなかった。
成果を上げられない中で気になったのが盗撮の多さだった。「盗撮している人を見た」という情報提供が分駐所に日々寄せられていた。盗撮犯に目を配ってみようと決意した。
小型カメラの普及などを背景に、盗撮の検挙件数が増えている。7月には性的な部位の盗撮などを処罰する新法が施行された。盗撮は被害者本人が被害に気がつきにくく、検挙は警察官や周囲の人の目にかかる。摘発の現場に密着した。
「警察だ。盗撮したな」 犯人の両手をつかむと・・・
その3カ月後。駅構内を行っ…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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