京阪電鉄は、白杖(はくじょう)や車いすの利用者を人工知能(AI)技術の画像認識でいち早く見つけ、駅員に知らせるための実証実験を始めた。ホームからの転落事故などを防ぐ試みで、近畿日本鉄道や相模鉄道でも同様の試験が進む。
実験場所は、八坂神社などの観光名所にも近い京都市中心部の祇園四条駅。IT企業アプリズム(大阪市)と協力して2月19日から、改札口にパナソニック製のカメラを4台置いた。3月末まで画像データを蓄積し、AIに白杖や車いすの利用者の見分け方を学ばせ、高い精度で自動的に検知できるようにする。4月からは、検知すると駅員の業務用携帯電話に通知が届く予定だ。
国土交通省のまとめによると、2019年度、視覚障害者のホームからの転落は61件に上る。京阪の広報担当者は「券売機で障害者用の切符を買うと駅員に連絡がいくが、ICカードで改札を通ると、駅員が気づかないこともある。サポートに役立てられるか検証したい」と話す。
近鉄は大和西大寺駅(奈良市)の改札口に昨年6月、同様のシステムを試験的に導入した。広報担当者によると、改札口に駅員がいない場合でも駅務室で白杖や車いすの利用者を把握できるため、「効果がある」という。相模鉄道も今年2月16~28日、二俣川駅(横浜市)で警備会社と共同で、防犯カメラを使った同様の試験をした。
障害者手帳の代わりにアプリ、割引も
身体障害者手帳などの代わりに示すことで割引が受けられるスマートフォン用アプリ「ミライロID」の体験会が15日、大阪メトロ堺筋本町駅(大阪市中央区)であった。
アプリは公の場で手帳を見せるのに抵抗がある人らのために、バリアフリーのコンサルティングを手がけるミライロ(大阪市)が開発した。飛行機や鉄道などの公共交通機関のほか、映画館や美術館などでも利用できる。割引の条件はそれぞれ異なる。
鉄道会社では、JR各社など100社以上に導入の動きが広がっている。この日、堺筋本町駅で体験した視覚障害者の自営業中川雅規さん(45)=大阪市都島区=は、「手帳は大きくて出し入れが難しい。スマホで使えるのはありがたい」と話した。(鈴木智之)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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