農作物を荒らすシカやイノシシを捕獲し、野生鳥獣の食肉「ジビエ」として学校給食などに活用する取り組みが進んでいる。「食害を減らし、新たな地域資源に」と、一挙両得での需要拡大が図られるが、捕獲を進めても「被害が減るわけではない」との声もある。何が課題なのか。
和歌山県 小中学校の9割以上でジビエ給食
「豚熱(CSF)の影響で、イノシシ肉は不足していませんか」「支障がないように調整しています」
5月下旬、和歌山県庁の会議室。県畜産課の上田雅彦課長補佐、県教育委員会教育支援課の横山知香指導主事らがジビエ給食について話し合った。
和歌山県はジビエ給食の先進県だ。県がジビエの食材費の全額を補助し、9割以上の小中学校などがジビエ給食を採り入れている。
県は地産地消の一環として、給食に提供する梅やミカンなど地元産の食材に、2017年度からジビエを加えた。導入にあたり、児童・生徒全員にリーフレットを配った。シカやイノシシによる農業被害が増えて駆除の必要があること、授かった資源をむだにせず、命に感謝しておいしくいただく取り組みであることなどを説明し、保護者向けに「安全な食材に限る」というメッセージを添えた。
導入当初、まずは人気のあるパスタやカレーに、食べやすい加工品のソーセージを使った。横山さんは当時、特別支援学校の栄養教諭。「なじみのあるメニューだったので、みんなが抵抗なく食べた」
多くの子どもに食べてもらう…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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