持ち時間5分、1手につき5秒が加算される将棋の超早指し戦「第2回AbemaTVトーナメント」の準決勝(三番勝負)が6月23日に放送され、糸谷哲郎八段(30)が渡辺明二冠(35)に2-0のストレート勝ちを収めた。
将棋において、これほど「早指し適正」というものが明確に出ることがあるのか。そんな声が次々とあがるような圧勝劇が展開された。タイトル歴では竜王1期の糸谷八段と、竜王だけで11期、タイトル22期の実績を誇る渡辺二冠。実績だけでなく、最近の調子でも渡辺二冠に分があると見られていた対決で、存分に力を発揮したのは早指しの雄・糸谷八段の方だった。
反応速度に勝る若手が有利と言われる早指し戦において、糸谷八段はそれをも上回る適正を見せた。第1局では相掛かりの出だしから、得意の力戦へ。解説を務めた広瀬章人竜王(32)が「糸谷さんは優勢になったら、よりテンポがよくなる」と話したように、途中からは指し手でも、その速度でも圧倒。会心の内容で強敵から白星を得た。
続く第2局では、さらなる速攻が炸裂した。かかった手数、わずかに64手。「たぶん自分しか研究していない形」の展開が見事にはまり、序盤から一気に優勢に。渡辺二冠に「酷すぎましたね。敗因どうこうのレベルではなかった」と嘆かすほどの完勝だった。
優勝候補同士の激突に、周囲も驚く2-0のストレート勝ち。その強すぎる内容に「決勝進出できて非常にうれしいです」と目を細めた。逆ブロックには前回優勝の大本命・藤井聡太七段(16)をはじめ、ベテランから若手まで強豪がそろい、誰が決勝に来ても激戦は必至だ。「早さという最大の武器だったものを活かせる将棋を指させていただけるので、非常に楽しい。(決勝は)どなたが来ても自分らしく、おもしろい序盤で、楽しく指したいと思います」と語った。8つあるタイトル戦に早指し戦はないが、コメントする様子は、タイトルホルダーにも似た風格と自信を漂わせていた。
敗れた渡辺二冠のコメント 1回勝てたので、自分としてはこんなもんかなと最初から思っていたので、こんなもんだと思います。
◆AbemaTVトーナメント 将棋界で初めて7つのタイトルで永世称号の資格を得る「永世七冠」を達成した羽生善治九段の着想から生まれた、独自のルールで行われる超早指しによるトーナメント戦。持ち時間は各5分で、1手指すごとに5秒が加算される。羽生九段が趣味とするチェスの「フィッシャールール」がベースになっている。1回の顔合わせで先に2勝した方が勝ち上がる三番勝負。予選A~Cブロック(各4人)は、三番勝負を2回制した棋士2人が、本戦への出場権を手にする。本戦トーナメントは8人で行われ、前回優勝者の藤井聡太七段、タイトルホルダーとして渡辺明二冠がシードとなっている。
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース
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