高層階火災、在宅避難の難しさ… タワマン特有のリスク浮き彫りに

 東京都は25日、マグニチュード(M)7クラスの首都直下地震が起こった際の都内の被害想定を10年ぶりに見直し、発表した。東京都の今回の被害想定は建物被害や死者・負傷者など「数値」で示せるものに加え、地震が起きた際に起こり得る「事象」に着目し「災害シナリオ」として明記したことが特徴だ。

 シナリオでは地震の発生直後、1日後、3日後、1週間後といった時間軸に沿って、避難生活に入る人たちや帰宅困難者がどんな状況に立たされるのかなどを示した。たとえば、避難所では携帯電話がつながらなくなる(発災直後~1日後)▽ごみ収集の遅れで衛生状態が急速に悪化(数日後)▽プライバシー不足に関するトラブル増加(1週間後)といった具合だ。

 過去10年間で都内で棟数が3割増加し、600棟を超えたタワーマンション耐震性は高く建物に大きな被害がなくても、発災直後から避難生活まで特有のリスクが都のシナリオでも示された。住人が防災体制の強化に取り組み始めている。

 シナリオでは、発災直後のリスクをこう記す。

 震度が大きくなくても長周期地震動が発生すれば、中高層階を中心に、キャスター付きのイスや家具、ピアノなどの大型家具が大きく移動し、人に衝突する恐れがある。大きな揺れが長時間にわたるため、避難者が非常階段で転倒して負傷するケースもある。停電してエレベーターが止まれば住人の閉じ込めが発生するほか、負傷者の早期救出も困難に。高層階で火災が発生し、防火設備がうまく働かないと避難は困難――。

 地上38階、地下2階建ての…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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