選挙権年齢が引き下げられて、3回目となる参院選の投開票日が近づく。高校3年生の一部は選挙権があり、主権者教育の充実が期待されるが、「政治的中立性」の観点から現場は時に難しい判断を迫られる。一部では、実際の選挙や政治情勢に触れるのを避ける傾向もある。
兵庫県立高校の50代女性教諭は、担当する国語の授業の冒頭で直近のニュースを取り上げるようにしている。生徒たちに、社会や政治に目を向けてほしいとの思いがあるからだ。
自分の意見を言わないように気を付けつつ、「この間の選挙行った?」と呼びかけたり、「こども家庭庁に、なんで『家庭』ってついたんだろうね」と考えを促したりしている。
授業で、批判的な意見を言う子は少ない。「右」と言われたらみんな「右」を向いてしまうのでは――。自分の頭で考えない大人にさせてはいけない、という危機感があるという。
主権者教育は、政治や選挙の知識を含め、社会で自立して生き抜く力の育成が目的で、2016年の選挙権年齢引き下げを機に注目された。一方、教育基本法は、特定の政党を支持・反対する政治教育を禁じており、生徒の一部が選挙権を持つ高校は、政治的中立性の確保を求められてきた。
「めんどくさいことに触れない」空気
授業で政治や政策について触…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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