新型コロナウイルスの影響で外で遊べなかったころ、飛川奈緒さん(12)はお菓子作りにはまっていた。愛知県岡崎市の小学校に通う6年生だ。
今年の春、マカロンを一から手作りしようと、メレンゲをかきまぜていたが、固くなってそれ以上先に進めなくなった。
「失敗しちゃった」。思わず口に出した時は、泣き出す寸前だった。
大好きなフットベースボールの試合で負けたときも、2人いる姉とケンカしたときも、すぐに涙が出るから、自分のことを泣き虫だと思っている。
これ以上は材料を無駄にできないから「また今度作るしかない」と、あきらめようとしていた。
それを見ていた父は
ソファでテレビを見ていた父・公(いさお)さん(49)は、娘の「失敗しちゃった」というつぶやきを聞き、キッチンに向かった。
お菓子作りのことはよくわからないが、今にも泣きそうな顔を見て、とっさに「もう1回作ればいいじゃん」と声をかけ、こう続けた。
「作るのをまた今度にすると、…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル