特殊詐欺に関与したとして今月、高校生が相次いで埼玉県警に逮捕された。県警によると、特殊詐欺事件で逮捕される未成年の約9割は現金などの受け取り役の「受け子」。アルバイト感覚の若者も多く、軽い気持ちで犯罪に加担させないために県警は様々な取り組みをしている。(仙道洸、山田暢史)
5月31日正午ごろ、静岡市の女性(75)方においを名乗る男から「書類を間違えて送ってしまった」「お金が必要」などと複数回電話があった。約5時間後、女性は自宅に来た男に現金300万円を手渡した。
「静岡県内でオレオレ詐欺の受け子をしてお金を受け取りました」
3日後の6月3日午後4時ごろ、狭山署に母親に連れられて自首したのは入間市の高校生の少年(17)。少年は被害者の女性の住所などを警察官に説明し、詐欺の疑いで逮捕された。
捜査関係者によると、少年は知人から「ものを持ってくるだけでいいバイトがあるよ」と誘われ、小遣い欲しさで応じたという。入間市の自宅から静岡市までは在来線で移動。交通費を工面するため、知人にお金を借りていたという。
8日には東京都昭島市の高校生の少年(17)も詐欺未遂の疑いで逮捕された。JR南浦和駅近くでパーカの中に白ワイシャツを着ていた少年を不審に思った捜査員が追跡。蕨市内の女性(88)宅前で着替えをしたことから職務質問した。逮捕後、少年は「お金絡みの悪いことをしようとした認識はあるが何をしようとしたかは言えない」と話したという。同じ日、福島県三春町の高校生の少女(17)も静岡県裾野市の女性(83)から現金250万円などをだまし取ったとして春日部署に逮捕されている。
SNSで募集「金いいです!」「荷物引き受け」
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特殊詐欺に関わったとして昨年、県警が逮捕・書類送検した未成年は45人。過去10年間で最多だった2018年の88人から減ってはいるが、例年、特殊詐欺事件の容疑者全体の約2割が未成年で、そのうち9割が「受け子」だ。SNS上での募集の書き込みを見て、気軽なアルバイト感覚で応じてしまうケースが多いという。
「単発10万/日からでも可能 月に100万円も多数います」「全国どこからでもできるお仕事あります 老若男女問わず誰でも受け入れています 金いいです! 闇バイト闇仕事裏バイト#荷物引き受け」「運び案件 全国で募集します! 短時間で稼げます うちはリスクありません」
SNSを少し調べただけでも、こんなうたい文句がすぐに見つかる。生活費や諸経費を支給をするというものまである。
県警は昨年から、こうしたツイートに対し特殊詐欺対策室の担当者が「このツイートは詐欺等の実行犯(受け子や出し子)を募集する不適切な書き込みのおそれがあります。詐欺罪は10年以下の懲役です」と返信。「そのツイートは犯罪への入り口です」などと警告する約20秒の動画も添付している。県警からの返信後には投稿が削除されることもあるという。
県警は23日、JR武蔵野線の東浦和駅などで啓発イベントを行った。
高校生ら駅の利用者には「荷物を受け取るだけで犯罪者!」「インターネットやSNSで募集している『楽して稼げる高収入』の仕事は危険です」などと書かれたチラシを配った。チラシでは周囲の人に対して「スーツで外出」「ブランド品を身につける」「外泊が増える」といった若者の変化への注意も促した。
東京都内の高校に通う本戸裕也さん(17)は「都内でもアルバイト募集の怪しいチラシを配っているのをよく目にする。自分も気をつけようと思う」。浦和東署の茂木しのぶ生活安全課長は「うまい話には落とし穴がある。人生を狂わせてしまうので安易に飛びつかないでほしい」と話した。
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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