ペルーから不正入国した両親のもと、日本で生まれ育ったきょうだいと母親を強制退去とした国の処分は子どもの権利条約に反するなどとして、国に在留特別許可を求めた訴訟の判決が29日、大阪地裁であった。三輪方大(まさひろ)裁判長は3人の請求を棄却した。
訴えていたのは大阪府立高校3年の女子生徒(18)と高校1年の弟(16)、母親のネリさん(53)。
判決などによると、ネリさんときょうだいの父親(62)は1990年代、他人名義のパスポートでペルーから来日。その後、2人が生まれた。だが父親が2011年に出入国管理法違反容疑で逮捕され、一家4人は12年に強制退去を命じられた。一家は13年に在留特別許可を求めて提訴したが、敗訴が確定。16年にまず父親が強制送還された。
残った3人は一時的に収容を解かれる仮放免の状態で暮らし、きょうだいは日本の学校に通学。「きょうだいが日本での生活に一層根付いた」として17年に改めて在留特別許可を求めて提訴した。
判決は、国際慣習法上は国家は外国人を受け入れる義務はなく、外国人の権利は入管法の枠内でのみ認められるとした1978年の最高裁判決(マクリーン判決)をふまえ、在留特別許可には法務大臣に広い裁量権があると指摘。子どもの権利条約もその裁量権を制約するものではないとした。
そのうえで、きょうだいが日本で育ったのは最初の強制退去処分に従わず不法残留が継続した結果に過ぎず、裁量権の逸脱はないと結論づけた。また女子生徒と弟はスペイン語能力やペルーの文化・生活様式を一定程度身につけており、父親が帰国しているのでペルーでの生活基盤を築きやすいとも判断した。
原告側代理人の空野佳弘弁護士は判決後の会見で、「子どもたちの権利について顧みない本当に冷たい判決だ」として控訴する方針を示した。(米田優人、玉置太郎)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル