寝室から玄関先まで逃げる「日本一短い」避難訓練に取り組む町がある。南海トラフ地震が起きれば、最大34メートルの津波が予想されている高知県黒潮町だ。東日本大震災では、屋内にいた高齢者を救助しようとした消防団員が亡くなっている。黒潮町の訓練は、助けられる側の防災意識を高めるとともに、助ける側の安全を守ることも目的としている。5日は国連が定める「津波防災の日」。
「名前を呼んだら、返事をして出てきてくれる?」
黒潮町浜町地区にある民家。自主防災組織の役員が声をかけた。住人の浜町清美さん(91)はベッドのある居間から歩行器を使って玄関まで行き、階段をゆっくり下りて家の前の路地まで出た。
「はい、35秒」
その約8メートルの距離を、夫…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル