高知への移住が過去最多更新 トラブルがネットで拡散、知事が懸念も

 「過疎先進県」を自認する高知県への移住者が、コロナ禍の影響を受けた2020年度の後、2年連続で過去最多を更新した。その一方、移住後の定着率は一進一退で、移住者と地元とのトラブルも表面化。県は対策を迫られそうだ。

 「移住ラジオ 今晩もよろしくお願いします」

 4月5日の午後7時、オンライン会議システムを使い、「コンシェルジュ」と呼ばれる県の移住相談員が移住に関する質問に本音で答える企画「高知家移住ラジオ」が始まった。

 仕事終わりに気軽に聞けるようにと、オンエアは平日夜。3回目だったこの日は、県のポータルサイトで募集した移住に関心のある30人がリスナーで、来県時のおすすめスポットという「ゆるい」テーマでスタートした。

 番組終盤には、リスナーからチャットで「年収が大幅に下がるのが不安。どのように乗り越えれば」という切実な質問も。移住相談員は「同じ業界の業種で100万(円)単位で下がった例も」と現状を伝えた上で、「お金に代わる豊かさを自分で探す」「それができるかどうか見極めるために私たちを使って欲しい」と出演した3人の移住相談員がアドバイスした。

「移住ラジオ」で相談受け付け

 県は、コロナ禍を経た移住の傾向のひとつに、「移住もいいな」と漠然と考える人が増えたことを挙げる。そういった「相談未満」の希望者を、待つだけでなく、県が移住情報を発信する「高知家で暮らし隊(累計約7700人)」の会員の加入につなげるのが、今年2月から始めたこの「ラジオ」の狙いだ。

 県は、1990年に都道府県で初めて死亡数が出生数を上回る自然減となった。県は2060年までに人口構成の一定の若返りができれば、80年には人口増に転じるとの予測を立てている。その若返りの原動力の一つが移住者だ。

 今は、5年以上のベテランも含めた県の移住相談員の男女18人が東京、大阪、高知でそれぞれ相談に応じている。市町村も県と協力し、計約50人の相談員を配置。お試し滞在施設も約30カ所に整備している。

 住居探しは、県の空き家対策の専門のチームが物件の掘り起こしに協力。今年度は、実際に内覧したような視点で見せるVR(仮想現実)映像による空き家の紹介や、高知にまつわるネット検索からUターン希望者を絞り込み、移住情報などを流す仕組みづくりを進める。

 移住者数は、11年度に241人(120組)だったが、13年度以降は毎年増加。20年度はコロナ禍の影響で減少に転じたが、21年度は1638人(1167組)、22年度は1730人(1185組)だった。

市の施設で対立 ツイッター「炎上」

 今年5月、そんな県の移住政策に冷や水を浴びせる事態が起きた。高知県土佐市に関西から移住した30代女性が「地域おこしに来てカフェを人気店にしたのに、有力者から出ていけといわれた」とツイッターで訴えるとネットで拡散された。

 場所は、太平洋に臨む、眺め…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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