著名人の自死とみられる事例が相次いでいる。何度も死にたいと思ったという俳優・高知(たかち)東生(のぼる)さん(55)が、NPO法人「京都自死・自殺相談センター」(愛称Sotto〈そっと〉)のトークイベントに参加し、「決して自分だけで抱え込まないで」と呼びかけた。
高知さんは2016年、覚醒剤取締法違反(所持)などの容疑で逮捕され、懲役2年執行猶予4年の有罪判決を受けた。「放っておいてほしい」という思いが募り、「何かあったら言えよ」といった励ましの言葉も苦しかったという。自分を責め続け、毎日のように「死ぬことで周りが許し、納得してくれるのでは」と考えていたと明かした。
転機となったのは、同じ悩みを抱える仲間とつながったことだった。「ああ、俺は一人じゃないんだと思った。苦しんだ人の話を聞き、自分も話し始めたら、心がどんどん楽になっていった」。取材に対して「自分がどんなに苦しみ、つらいか、助けを求めることが大事」とも語った。
今年7月。俳優の三浦春馬さんが30歳で亡くなった際、ツイッターで「俺が17歳の時に母親は自殺した」と打ち明け、大きな話題を呼んだ。「残された家族一人ひとりが自分の責任じゃないか、と考えて苦しんでいる。(自ら)話したいと思うまで、そっと見守ってほしい」と理解を求めた。
同センターによると、新型コロナウイルスの感染拡大や著名人の自死などで相談が増えているという。当事者に近い立場から考える機会を設けようと、高知さんを招いたトークイベントを7日、京都市内で企画。同センター代表で僧侶の竹本了悟さんや、自死遺族支援弁護団事務局長の生越(おごし)照幸弁護士を交え、オンラインで配信した。
同センターは金、土曜の午後7時~午前1時、電話相談(075・365・1616)に無料で応じている。竹本さんは「自死の気持ちが生まれるのはおかしなことじゃない。抱え込まずに相談機関につながってほしい」と話している。(高井里佳子)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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