刺し身のコリコリした食感が人気の高級魚カンパチ。東シナ海を回遊するものの、詳しい生態は分かっていなかったが、長崎大や北海道大、東京海洋大と台湾の国際研究チームが台湾東方沖に産卵場所があると特定し、7月に論文を発表した。研究チームは、資源を保護し、持続可能な漁業に役立てることを期待している。
食卓ではおなじみでも、海でどんな一生を送っているのかが詳しく分かっていない魚介類は多い。ニホンウナギは長年にわたって産卵場所など多くが謎に包まれていた。長崎大環東シナ海環境資源研究センター長の河辺玲(りょう)教授(52)によると、熱帯から温帯域に生息するブリの仲間・カンパチもその一つだ。
河辺教授らは10年ほど前から、黒潮の源流近くにある台湾の水産試験所と共同研究に取り組んできた。学会で研究者同士が交流したことが縁で、カンパチの産卵場所の究明は2016年に始めた。
研究チームはまず、九州から台湾にかけての海域で採取した稚魚のゲノムを解析。この一帯の個体は、南シナ海とは別のグループだということが分かった。九州から台湾に南下するほど、孵化(ふか)してから間もない稚魚が確認できた。
「稚魚は台湾近海で生まれ…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル