古城博隆
高速道路の老朽化対策費を確保するため、国土交通省は、利用者からの料金の徴収期限を最長50年延長して2115年までとする方針を固めた。徴収した料金をトンネルや橋の更新や補修の費用にあてるが、無料開放の時期は大幅に遠のき、見通せなくなった。23日召集の通常国会に関連法案を提出する。
05年の道路公団民営化に伴い、政府は2050年までは料金を徴収して建設費を返済し、その後は無料開放する方針を掲げた。ただ、12年に中央道の笹子トンネルで天井板が崩落する死亡事故が発生。巨額の老朽化対策費を確保する必要が生じ、期限を2065年に延長した。その後も大規模な更新や補修が必要な箇所が次々と判明し、国交省の有識者会議が期限の再延長を求めていた。
料金の値上げや増税に比べて…
一定期間ごとに高速道路各社が事業計画をつくり、更新・補修費用を料金で返済できるかなどを国交省が審査しながら進める方針。同省幹部によると、老朽化対策費の確保をめぐっては、料金の値上げや増税も選択肢になり得るが、「道路を長く使うための投資は、将来世代を含めた受益者で負担するのが妥当」と判断した。ただ、国立社会保障・人口問題研究所の推計では、国内の人口は2065年に約8800万人、2115年に約5千万人に減少。交通量も減少が見込まれ、徴収期間も長期化せざるを得ないという。
一方、国交省は徴収する料金は、老朽化対策のほか、暫定的に2車線で整備した路線の4車線化など新たな投資にも回す方針だ。(古城博隆)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル