高齢化進む町の職員、ミカン農家で副業OKに 土日祝のみ・週8時間

 「年中みかんのとれるまち」をキャッチフレーズに掲げる三重県御浜町は今年から、職員がミカン農家でアルバイトできる副業制度を導入した。県内の自治体では初の制度。少子高齢化が進む中、農繁期の人手不足を補うと同時に、職員が町の基幹産業の現場を知ることなどが狙いだ。

「自然の中で働くのは気持ちいい」

 「一番大事なのは2度切りする時に傷をつけないこと。ていねいにね」

 11月下旬の土曜朝。御浜町との境にある熊野市金山町のミカン畑で、寺西勉さん(59)が一緒に収穫作業をする稲葉光希さん(22)に声をかけた。専用のハサミでミカンを枝から切り離し、さらにヘタぎりぎりまで枝を切り落とす。それを2度切りという。

 稲葉さんは今春入庁した町企画課の職員だ。この日が収穫作業のアルバイト2日目。「慣れてはきたけれど、木に登って高い所のミカンを取ったりするのはまだ難しい。経験を積めばもっと早く作業ができるようになると思う」。ミカン農家のことをよく知らないので、仕事にも役立つだろうと副業制度を利用。「バイトと言うより勉強ですが、自然の中で働くのは気持ちいい」と笑顔だった。

 御浜町在住の寺西さんは町内と熊野市でミカンを栽培している。6カ所ある園地は計約1・8ヘクタール。ふだんは夫婦2人だが、農繁期は手が回らない。「近所の人や知人らがパッと来てくれればいいが、人手不足で難しい。稲葉さんが来てくれて助かっています」

内規を策定、公務員の許可制副業に道筋

 町の人口は約8千人。町によると、約4100世帯のうち約500世帯がミカン農家で、このうち専業農家の平均年齢は約72歳と超高齢化している。特に農繁期の人手不足は深刻だ。

 職務専念義務がある公務員の副業は法令で制限されているが、町は3月に「町職員の柑橘(かんきつ)栽培の副業」に関する内規を策定し、許可制の副業に道筋をつけた。同様の制度を導入している和歌山県有田市の取り組みを参考にしたという。

 内規には「本業に悪影響を及ぼさないよう注意しながら取り組む」と明記。副業の期間は収穫が集中する9~11月とし、土日・祝日に限定した。週8時間以内、月30時間以内などの制限も設けた。農家が負担する賃金は県の最低賃金以上、町内の農家なら園地は近隣の熊野市や紀宝町でもいい。

「期間を通年にしてほしい」要望も

 制度の運用では、JA伊勢無…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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