上月英興
踏切内で身動きが取れなくなった80代女性を救助したとして、北九州市八幡東区の会社員、蔵原純鈴(すみれ)さん(20)に福岡県警門司署から感謝状が贈られた。蔵原さんは間一髪で列車をかわしたといい、「めちゃくちゃ心臓バクバクでした」と振り返る。
昨年12月28日午後0時50分ごろ、北九州市門司区の石原町通り踏切。蔵原さんは年末の掃除で出た段ボールをリサイクルに出すため、車を運転していた。
遮断機が下りてきたので、停車した。反対側に、腰の曲がったお年寄りの女性が踏切を渡ろうとしているのが見えた。しかし、女性は手押し車が線路に引っかかり、なかなか前に進めない様子だった。
間に合うのかな。
蔵原さんは車から降りた。女性はまだ踏切の中。右から列車の警笛が聞こえてくる。
「危ない!」。体が飛び出していた。踏切の外へ連れ出す時間はない。女性の体を抱え、手前に一緒に倒れ込んだ――。
急ブレーキをかけた列車が止まったのは、踏切を過ぎてからだった。
感謝状の贈呈式は1月20日にあった。踏切にある非常ボタンは探す暇もなかったという蔵原さんは「自分でもよーやったな、と思う。次はちゃんとボタンを押します」。贈呈式に同席した母親の恵美(めぐみ)さん(49)は「助かって良かった。自分ではできないことをやった娘を誇りに思う」と話していた。(上月英興)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル