鶴にも選ばれる安心な農作物を 北海道の農家、石狩に鶴どうやって?

 サロルンカムイ。

 タンチョウのアイヌ語名だ。「湿原の神」の意味を持つ。細くまっすぐな立ち姿、翼を羽ばたかせながら飛び立つ姿は優美そのもの。古くは北海道内のみならず国内各地に飛来していたタンチョウだが、開発が進むにつれ生息域を減らし、いまは道東以西に飛来することは少ない。その希少なタンチョウを石狩平野に呼び戻した農家14人が、長沼町にいる。

 「見えた? ほら、あの白いのがタンチョウだよ」

 稲刈りが終わった田園で草をついばむタンチョウをほほえましく見つめるのは長沼町の農家、加藤幸一(よしかず)さん(71)だ。加藤さんは長沼町にある「舞鶴遊水池にタンチョウを呼び戻す会」の会長を務める。

 札幌から車で約1時間。長沼町は石狩平野の南東部に位置する。高層物のない広大な田園地帯からは隣接する北広島市のエスコンフィールド北海道の明かりが望める。上空は新千歳空港に着陸する航空機がちょうど車輪を出す空域。遠くからジェットエンジンの轟音(ごうおん)が途切れない。

 舞鶴地区、舞鶴神社、舞鶴小学校(2020年3月閉校)、「鶴は千年」でなじみの千歳(川)――。

 町内には「鶴」に由来する名前が数多く残る。舞鶴遊水池のそばには繁殖橋という橋もある。加藤さんは「昔、タンチョウが繁殖していた名残です」と話す。加藤さんの明治生まれの祖母の名は「ツル」だという。

 なぜ長沼町にタンチョウがいたのか。

 その理由を加藤さんは「長沼…

この記事は有料記事です。残り991文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【お得なキャンペーン中】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

Japonologie:
Leave a Comment