大型で非常に強い台風10号は5日午後、沖縄・大東島地方を暴風域に入れ、北上した。勢力を維持して6日午後に鹿児島・奄美に最接近し、6日午後から7日、九州にかなり接近するか上陸する恐れがある。経験したことのないような暴風や高波、高潮となる恐れがあるとして、気象庁は6日午前、鹿児島県に台風による特別警報を発表する見通し。九州各地では厳戒態勢がとられている。
国土交通省の担当者は5日、気象庁との合同会見で「経験したことのないような大雨が予想され、河川の越水が十分考えられる」と危機感を示した。
気象庁によると、九州南部の多いところでは、6日午後6時までの24時間で300ミリ、その後の24時間で500~800ミリの降水量が見込まれる。河川は流域周辺で最大規模の降水量を想定して堤防などを整備するが、7月の豪雨で氾濫(はんらん)した熊本・球磨(くま)川や、九州南部の川内(せんだい)川や肝属(きもつき)川などは、その想定を超える雨になる予想。四国や近畿、東海も大雨が予想され、「警戒が必要」とした。
また、6日の予想最大風速は沖縄で50メートル、九州南部で45メートル。一部の住宅が倒壊するほどの暴風が、記録的な高潮を引き起こす恐れもある。沖から吹く風が海水を海岸方向へ運ぶうえ、さらに台風には海面の高さを引き上げる作用があるため、高潮は起きる。台風10号は、2018年に高潮などで関西空港が冠水した台風21号よりも強い勢力で九州に近づくとみられる。
気象庁の担当者は「高潮は水が陸に入り続け、津波にたとえられることもある」と話す。風の向きや強さ、気圧、地形、潮の干満も影響するため詳細な発生場所の予測は難しい。福岡管区気象台によると、鹿児島湾や八代海、有明海など、九州で南側に開いている湾では特に警戒が必要という。
6日にかけて予想される最大風速は、沖縄と奄美50メートル、九州南部45メートル、九州北部25メートル、四国20メートル。7日は九州40~50メートル、奄美30~40メートル、中国25~29メートル、四国と近畿20~24メートル。
6日にかけて予想される波の高さは、沖縄と九州南部、奄美14メートル、九州北部と四国9メートル、近畿と東海6メートル。7日は九州南部12メートル、奄美11メートル、九州北部と四国10メートル、近畿8メートル、東海7メートル、沖縄と中国6メートル。
6日午後6時までの24時間降水量の予想は多いところで、奄美400ミリ、沖縄と九州南部300ミリ、九州北部200ミリ、東海180ミリ、近畿120ミリ、四国と関東甲信100ミリ。
7日午後6時までの24時間では、九州南部500~800ミリ、九州北部300~500ミリ、四国と近畿、東海300~400ミリ、奄美と関東甲信100~200ミリ、中国100から150ミリ。8日午後6時までの24時間は東海200~300ミリ、近畿と関東甲信100~200ミリ。(山岸玲)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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