台風10号の被害を避けるため、自衛隊のヘリで島外に避難していた鹿児島県十島村(としまむら)の住民らが8日夜、自宅があるトカラ列島の島々に向かう定期フェリー便に乗り込んだ。「不安だったけど、ようやく島に帰れる」。鹿児島県本土に住む親族らに見送られ、ほっとした様子で帰路についた。
十島村の有人7島の住民(計約670人)のうち、高齢者や妊婦、児童ら約200人が4、5日に、県の災害派遣要請を受けた自衛隊ヘリで鹿児島市へ避難。村が用意したホテルなどに身を寄せた。災害警戒の島外避難は同村では初めて。
口之島(くちのしま)から避難した70代女性は、滞在したホテルでは「暴風が気がかりで、被害を伝えるニュースを見て過ごしていた」。7日に電話で自宅の無事を確認し、「ようやく安心しました」。「ヘリコプターのお世話になるのは初めての経験。(ホテル生活は)温かい食事も出て、疲れはありません」と語った。
悪石島(あくせきじま)から夫らと避難していた80代女性は「どんなすごい被害になるかと心配していたが、大きな被害がなくてよかった」と話した。8日夜、本土側に住む次女らに手を振り、笑顔で乗船していた。
定期便の定員の都合上、住民らは2回に分けてそれぞれの島に帰る予定。8日夜は「第1陣」として約90人がフェリーに乗り込んだ。(小瀬康太郎)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル