加藤裕則
JR九州は29日、列車運転の自動化の実現に向け、線路への進入といった不測の事態にもスムーズに対応できる「自動列車運転支援装置」を、博多駅を含む鹿児島線の一部で導入し、試運転を始めたと発表した。
鹿児島線は、管内では乗客が最多の路線で、列車本数が多くダイヤも乱れやすい。運転士の業務負担も大きいため、負担軽減を図りたい考えだ。
新たな支援装置の導入区間は、赤間(福岡県宗像市)―久留米(久留米市)の67・4キロ。今春から不定期で試運転を重ね、来春までには実際に営業する列車で使用する。
JR九州では2020年末から、香椎線で自動運転を試行。今回開発された支援装置は香椎線のシステムと同様に、運転士が発車ボタンを押せば発車時に自動的に加速し、停車時に減速できる。そのうえで、手動によるレバー操作も可能とし、トラブルによる緊急停止などにも迅速に対応できるようにした。
運転士の負担減のほか、香椎線のように列車の位置を把握する装置を線路に設置する必要がなく、経費の負担も軽くなるという。
JR九州は香椎線でも今春から、自動運転の対象列車を同線の46%から67%に拡大。24年度末以降は、運転士の資格を持たない係員で対応したいという。今後、両路線で試運転を重ねながら、双方のメリットを組み合わせて自動運転の技術を高める考えだ。
鉄道では、ゆりかもめ(東京都)などで無人運転が実現しているが、JRの路線は踏切が多く、一定の速度も求められることがネックとなっており、東日本や九州の各社が試運転を重ねている。(加藤裕則)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル