白い米の中に、虫害による黒い米粒が混じっていたら――。米の見た目を重視するあまり、虫の駆除のために過剰な農薬が使われているとして、米の検査基準の緩和を求める声が上がっている。だが国は、見直しに慎重な姿勢だ。
農家が米を出荷する前に受ける農産物検査では、検査員が米粒の色や形、粒ぞろいを目視で判定する。黒い粒が見つかったら、原因はほぼカメムシだ。稲穂から汁を吸った跡が黒い斑点になる。
健康には影響ないのに
色がついた粒(着色粒)が1千粒に1粒以下(0・1%)なら、1等に認定。0・3%以下で2等、0・7%以下で3等となる。等級が下がると米の価格も低下し、農家の収入に直結する。
だが、黒い米粒が数%混じっていても味には影響せず、人体にも害はないという。「外観の問題」と農林水産省の担当者は話す。
実際には等級にかかわらず、食卓の白飯に黒い粒が混ざることはほとんどない。検査時に着色米があっても、米が店頭に並ぶ前に「色彩選別機」を使えば、取り除くことができるからだ。農水省によると、全国に約400ある米の卸売・小売業者の大型精米工場のほぼすべてで色彩選別機が導入されている。
見た目重視、農薬使いすぎにも影響?
それでも、水稲作付面積の3割以上でカメムシが発生することもあって、農家の多くはネオニコチノイド系農薬を使う。ミツバチの大量死との関わりが指摘される農薬で、欧州連合(EU)では一部使用が禁じられている。
見た目重視の基準が農薬の過剰使用を引き起こしている――。そんな声は以前からあった。
日本弁護士連合会はこの農薬の…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル