広島への原爆投下後に「黒い雨」を浴びたと訴えた84人全員を被爆者と認めた広島高裁判決をめぐり、菅義偉首相は26日、「被爆者援護法に基づいて、その理念に立ち返る中で救済をすべきである、このように考えた。そういう考え方のもとに、上告はしないこととした」と述べ、上告を断念する意向を表明した。首相官邸で記者団の取材に応じた。
14日の高裁判決では、84人全員への被爆者健康手帳の交付を命じた昨年7月の一審・広島地裁判決を支持。国から手帳の交付事務を任されている広島県と広島市の控訴を棄却した。政府は、被告の広島県と広島市に上告するよう求めていた。
首相は記者団の取材に対し、「判決について私自身、熟慮してきた」と述べ、「上告はしないこととした。直ちに原告の皆さんには被爆者手帳を交付させて頂きたい。同じような事情の方々について救済すべく、これから検討したい」と話した。また、「政府として受け入れ難い部分もあるので、談話という形で整理をしていきたいと思う」とも述べた。
首相は26日夕、湯崎英彦・広島県知事、松井一実・広島市長と首相官邸で面会し、こうした方針を伝えるとしている。
高裁判決は、国の援護対象区域から外れた住民について、疾病にかかわらず、幅広く被爆者と認める判断を示した。原爆の放射能による健康被害を否定できなければ、被爆者にあたるとした。
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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