北九州市民の台所として親しまれ、観光スポットでもある旦過(たんが)市場(北九州市小倉北区)で「思い出」の発掘が進んでいる。来年度からの整備事業で大きく生まれ変わることになり、1世紀以上の歴史を持つ市場ならではの品々を残そうとしている。集めた品は新しい市場で展示する予定という。
旦過市場は1913(大正2)年ごろ、魚の荷揚げ場が発展してできたとされる。商店の建物が横を流れる神嶽(かんたけ)川にせり出しており、大雨による浸水被害に見舞われてきた。老朽化した商店を川と反対の東側に約10メートルずらす計画で、その整備工事が来年度から2027年度まで予定されている。
そこで旦過市場商店街が始めたのが「思い出発掘プロジェクト」。会長の黒瀬善裕さん(57)によると、関係者から「店を移したら捨てられてしまうものがあるかもしれない」と、心配する声が上がったという。
黒瀬さんは「店にとって何のことはないものでも、他の人から見ると価値があるかもしれない」。18年から店舗を回り、店に眠る品々を「思い出」として写真に収め、品物にまつわるエピソードも聞く。これまでに39点が集まった。
創業80年超の「フルーツショップ八木」では今は使っていない黒電話と、店先の風景が描かれた一枚の絵が「思い出」とされた。
つくだ煮店ではチェックライターも
店主の夫と2人で店を切り盛り…
2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル