「母は、兄姉のことは何も話してくれなかった」
「対馬丸の話、父はほとんどしませんでした」
昨秋から始めた遺族宅への訪問で、外間(ほかま)邦子さん(80)=那覇市=はたびたび、こんな言葉を聞いた。
外間さんの両親も、そうだった。
母・ツル子さんは、明治44年生まれ。笑顔の写真を見た記憶がない。父・宏栄(こうえい)さんは沖縄県庁に勤め、冗談をよく言う人だった。その父でさえ死んだ姉たちのことは話題にしなかった。
母33歳、父35歳。1944年の夏に事件は起きた。
サイパンが米軍に占拠され、次は沖縄が戦場になるとみた政府は、沖縄から本土への疎開を閣議決定した。…… 本文:1,347文字 この記事の続きをお読みいただくには、朝日新聞デジタルselect on Yahoo!ニュースの購入が必要です。
朝日新聞社
Source : 国内 – Yahoo!ニュース