京都市伏見区のアニメ制作会社「京都アニメーション」第1スタジオで34人が死亡した放火殺人事件で、青葉真司容疑者(41)が玄関から建物内に侵入した直後にバケツでガソリンをまき、火を付けたとみられることが捜査関係者への取材でわかった。玄関のそばには3階まで吹き抜け構造になった、らせん階段があり、炎と煙が一気に建物全体に充満したという。
京都府警は20日午後、建物の現場検証を終えた。らせん階段の西側が最も焼けており、溶けたプラスチック製のバケツのほか、ライターや着火剤とみられるものの残骸が付近で見つかったという。
京都アニメーションの八田英明社長は検証に立ち会った後、報道陣の取材に応じ、建物内部の状況について「天井は真っ黒。鉄板まで焼けるほど(放火から)何秒かで相当高い熱量が出たようだ」と話した。
また、事件当時、建物内にいた人から聞いた状況として「(煙で)真っ暗になり(周りが)見えなかった」「熱風があり、窓からも逃げられない状況だったらしい。逃げる場所は上しかなかったのでは」と語った。
建物内には、らせん階段のほか、普通の階段もあったが「両方の階段を(煙が)噴き上げている状況だった」という。1階に音声収録室や打ち合わせ用のスペース、2、3階に作画のための作業場所などがあり、普段から2階以上に多くの人がいた。
捜査本部によると、犠牲者34人のうち、2階以上で31人の遺体が見つかった。3階から屋上への階段(幅約1・2メートル)では19人が死亡。現場検証の結果、屋上へ出る扉は施錠されていなかったが、煙の回りが早く、避難できなかったとみられる。
犯行に使われた可能性のあるガソリンは、事件発生約30分前の18日午前10時ごろ、青葉容疑者とみられる男が現場から西へ約500メートル離れたガソリンスタンドで購入。男が店員に「発電機に使う」と告げていたことも捜査関係者への取材でわかった。男は手押し式の台車に40リットル分の携行缶を載せて運んでいったという。
容疑者、大阪府内に移送
京都府警は20日、全身やけどで病院に搬送され、入院していた青葉真司容疑者(41)を大阪府内の別の病院に移送した。捜査本部によると、事件後、京都市東山区の病院で治療中だったが、命の危険もある重篤な状態が続いており、専門的な治療を受けられる病院にドクターヘリで移したという。
事件の犠牲者は、病院に搬送され重症だった男性1人が19日に亡くなり、計34人になった。負傷者は青葉容疑者を除いて計34人で、症状の重い人もいるという。
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル