カジノを含む統合型リゾート(IR)をめぐる贈収賄事件で、東京地検特捜部が25日、衆院議員の秋元司容疑者(48)=自民、東京15区=を収賄容疑で逮捕した。現職の国会議員が逮捕されるのは2010年1月以来、およそ10年ぶり。大阪地検の証拠改ざん事件以降では初めてとなる。
検察の大きな役割は、市場監視と政治監視の二つだ。しかし、2010年9月に発覚した大阪地検特捜部の主任検事による証拠改ざん事件で、検察の信用は失墜。特捜部は萎縮し、長らく大型事件はなかった。
雰囲気が変わったのは18年11月。東京地検特捜部が日産自動車のカルロス・ゴーン会長(当時)を、役員報酬を過少記載したという金融商品取引法違反の疑いで逮捕した。証拠改ざん事件を受けた刑事司法改革で、捜査当局が取り調べの録音・録画導入の「バーター」で手に入れたとされる司法取引が適用された。世界的自動車グループのトップの逮捕は世界の注目を集めた。
そして今度は国会議員を逮捕した。秋元司議員は当選回数が参院1、衆院3の中堅で、派閥の領袖(りょうしゅう)や閣僚経験者といった実力者とは言えないが、現職の逮捕は約10年ぶりとなる。
直近の現職逮捕は10年1月の石川知裕衆院議員(当時)までさかのぼる。小沢一郎氏の秘書時代、収支報告書に土地取引をめぐる4億円の収入を記載しなかったという政治資金規正法違反だった。国会議員は国会の会期中は逮捕されない特権があり、逮捕するには国会に「逮捕許諾」を請求する必要がある。検察は極力この手続きを避けて捜査日程を組むため、石川氏も今回も、臨時国会が終わって通常国会が始まる前の逮捕となった。
さらに、国会議員の職務にかかわる収賄罪の適用となると02年の鈴木宗男衆院議員(当時)以来、17年ぶりとなる。密室で行われる贈収賄事件の解明は供述頼みになりがちで、過去には、強引な取り調べに基づく検事の「作文調書」が問題になることもあった。録音・録画の時代、客観証拠による裏付け捜査がより重要になる。
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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