【動画】札幌市長「児相の認識に甘さ」 2歳女児衰弱死事件=戸田拓撮影
虐待通告を受けてから原則48時間以内に子どもの安否確認をする「48時間ルール」について、ルールが守られているかを点検する仕組みが札幌市児童相談所になかったことがわかった。池田詩梨(ことり)ちゃん(2)衰弱死事件でも、48時間超過の確認をせず、立ち入り調査の検討もされなかった。秋元克広札幌市長は11日、事件後初めて会見し、「認識の甘さがあった」と認めた。(磯部征紀、芳垣文子、天野彩)
児相によると、4月5日午前10時45分ごろ、近隣住民から「昼夜問わずに子どもの泣き叫ぶ声が聞こえて心配だ」といった虐待通告を受けた。9日に母親の莉菜容疑者(21)と電話で連絡が取れたが、面会はできなかった。5月15日の警察からの情報で「虐待はない」と判断していた。
通告受理は所長まで書類で報告が上がっていたが、48時間を経過しても安否確認できていなかったことについて定期的な報告の場は設けられていなかった。
政府は昨年7月、48時間を超えて子どもの安否確認ができない場合は、立ち入り調査を実施することを求めていたが、立ち入り調査の検討もされていなかったという。
児相は事件を受けて、48時間を超えて安否確認ができていないケースを毎日の会議で情報共有する取り組みを始めた。事件後の点検で、こうしたケースは4件あり、11日現在で2件については安否確認ができていないという。また児相は過去5年間に立ち入り調査や、強制的に家に立ち入る「臨検」を実施したケースがいずれもなかったことを明らかにした。
事件を受け、秋元克広市長は臨時記者会見で「児童相談所における安否確認の徹底とリスクの認識の甘さがあった。特に今回は、警察との連携が不十分だった」と認めた。その上で、早急に道警に緊密な連携体制の構築を申し出る考えを明らかにした。
秋元市長は5日から姉妹都市提携60周年記念事業で米国・ポートランドを訪問、10日に札幌に戻った。事件について直接述べるのはこの日が初めて。
今回の事件では、虐待通告について児相と道警の認識にずれがあった点が問題視されている。秋元市長は、情報共有のあり方などについて警察との協議が必要とし、「子どもの命をどう守るかという前提で、局面局面で共通認識に立ちながら対応策を取る必要がある」と述べた。
児相は虐待通告を受けた昨年9月は面会ができたが、再び通告があった今年4月のケースでは、母子と会うことができず、虐待通告を受けてから原則48時間以内に安否を確認する「48時間ルール」も守られていなかった。
秋元市長は虐待通告について、「昨年9月に一度母子に接触した後、その後の状況変化を把握し切れていなかった」とし、警察や地域の情報などから、状況の変化をつかむ必要性を指摘。さらに、今年4月の通告時に「48時間ルール」が徹底されなかったことについては「虐待リスクへの判断の甘さがあった。なぜできなかったのか、詳細に検証したい」と述べた。
さらに、市長自らの選挙公約に掲げていた第2児童相談所設置に向けた検討を加速させる意向を明らかにした。
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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