原口晋也、伊藤和也
長崎県佐世保市で2014年、高校1年の女子生徒(当時15)を殺害し、第3種(医療)少年院に収容されている同級生の加害女性(23)について、長崎家裁が収容継続を認める決定をしたことが15日、関係者への取材で分かった。少年院法には、精神に著しい障害がある場合、最大26歳になるまで収容の延長を認める規定があるが、法務省によると、実際に23歳を超えて継続した例はないとみられるという。
少年院法では、犯罪傾向や心身の状況などに応じて収容する少年院の種類を決める。20歳までの収容を原則とした上で、23歳未満まで延長が可能。さらに第3種少年院に限り、精神に著しい障害があり、医療の専門知識や技術を踏まえた矯正教育を継続して行うことが特に必要な場合は、最大26歳未満までの継続を認めている。加害女性は3年前、23歳になるまで継続の決定がなされていた。
長崎家裁などによると、収容先の少年院長は、加害女性が今年7月で23歳になるのを前に、収容継続を申請。家裁は審判を開き、26歳になる24年までの継続を8月下旬に認めた。加害女性側は9月7日付で不服を申し立てて抗告し、福岡高裁が今後判断する。
加害女性は14年7月、殺人容疑で逮捕された。家裁は翌年7月、他人への共感を欠く特性が殺人欲求に影響したとしたうえで、「刑罰による抑止効果はなく、長期間の治療教育で矯正の効果が期待できる」と、検察官送致(逆送)はせず、特性に応じた治療教育が期待できる第3種少年院に送致する保護処分を決定した。
元付添人の弁護団は今年7月、女子生徒の命日を前に報道各社に出したコメントで、加害女性の内省や自己理解が深まっているとしながらも、「社会復帰はまだ先で、矯正教育が必要な状況」としていた。(原口晋也、伊藤和也)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル