複数の顧客に対して外国為替証拠金取引(FX)で生じた損失を補填(ほてん)したとして、東京地検特捜部は20日、金融商品取引法違反容疑で1979年のドラフトで巨人に1位入団した東郷証券(東京都港区)の実質経営者で取締役の林泰宏容疑者(58)ら4人を逮捕した。
逮捕容疑は2016年7月~19年1月、顧客8人の損失計約6900万円を穴埋めした疑い。関係者によると、業務を外部委託したように装って捻出した資金を使ったとみられる。証券会社の損失補填が刑事事件として立件されるのは、約20年ぶり。関係者によると、林容疑者は容疑を否認しているとみられる。
林容疑者は兵庫・市尼崎高で投手として活躍。6球団の競合の末、阪神に入団した岡田彰布氏(現野球評論家)が最注目選手だった79年のドラフトで巨人に1位指名された=同下=。400勝投手の金田正一氏は当時、骨太の手を褒め、「いけるで稲尾(和久氏)二世!」と期待。だが、1軍で登板することなく近鉄、大洋(現DeNA)と移籍し、最後は肩を壊して85年に引退した。その後、先物取引大手の営業で経験を積み「入や萬成証券」社長に就任。「異例の転身」として注目された。
東郷証券の元社員によると林容疑者は「会長」と呼ばれており、月に1、2度会社を訪れては社員に「売り上げを伸ばせ」とハッパを掛けていたという。元社員は「支店との電話で『バカヤロウ』と叫び、受話器を壊した。怖い人だった」と振り返った。
今年2月に証券取引等監視委員会が強制捜査に入った後は、会社にほとんど姿を見せなくなったという。同社は長野県松本市など4市に支店があったが、5月末に全て閉鎖していた。
【関連記事】
Source : 国内 – Yahoo!ニュース