[新型コロナ] 緊急事態 近畿3府県で解除 飲食店、民泊は“新たな形”模索(日本農業新聞)

 政府は21日、新型コロナウイルス感染症対策本部の会合を首相官邸で開き、流行が落ち着いたと判断した京都、大阪、兵庫の近畿3府県での緊急事態宣言の解除を決めた。埼玉、千葉、東京、神奈川の首都圏4都県と北海道では宣言を継続する。25日にも専門家会議の評価を聞き、解除の可否を判断する方針だ。

 近畿3府県では、農家レストランや農家民宿など人を呼び込んできた農業経営者らが新たな形で経営を始めた。同日は39県で解除され1週間がたったが、にぎわいは戻らない。それでも、テークアウトやドライブスルー方式など、新たな一歩を模索する。

大阪の農家レストラン 3密避けもてなし

 大阪市で2店舗の中華料理店「農家厨房」を営む農家の大仲一也さん(54)が、自身で収穫したニンジンや豆類、ジャガイモなど野菜が10種類入った温野菜を蒸す作業を黙々と続ける。3府県の緊急事態制限が解除されたことを受け、「今ならまだ間に合う」と大仲さんは話す。

 今週からアルコールを提供する夜の部門を再開。初日の19日の客はゼロだったが、21日はテラス席に予約が入った。店内には22席あるが、3密(密集、密閉、密接)を避け、間隔をできるだけ広げて席数を減らすことも考える。消毒を小まめにし、テークアウトメニューを増やす。他の飲食店が工夫する取り組みを研究し「何でも挑戦する。諦めない」という。

 売り上げは平年の7割減。現状の稼働率は3割以下で、運転資金が枯渇する恐れが出てきた。それでも大仲さんは、何とか経営を続けられる方法をここ3カ月間、ずっと考えてきた。

 大仲さんは「農家が経営する飲食店というのが、店の最大の売り。採れたての新鮮な野菜を蒸した温野菜は他にない。野菜本来の甘さが感じられるから、食べた人は感激する。やめることは考えへんかった」と包丁を握る。畑を耕し田んぼの水管理をしてから出勤する“農家シェフ”の自信が垣間見える。 

 大仲さんは堺市で米や野菜を1ヘクタール作る。農家だった父が亡くなったことを契機に一流ホテルのシェフをやめ、2009年に起業し農業も継いだ。

 健康志向の会社員や地域の高齢者らに人気の店だ。しかし、3月からコロナ禍が直撃。夜の営業はできなくなった。賃貸や光熱費は月100万円近く、従業員の給与もあるため、大赤字だ。融資や助成金などを申請するが、煩雑な書類の対応に追われ、対応窓口の大混雑。ピンチの中、農家厨房のファンだったオーナーが一定期間家賃を半額にしてくれ、常連客からの再開を望む声が大仲さんを支えた。第2波の懸念など先行きの不安は募るが、「3密を避けて集客する」と大仲さんは意気込む。


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Source : 国内 – Yahoo!ニュース

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