7都府県で新型コロナウイルス対応の特別措置法に基づく緊急事態宣言が発令されたことを受け、農家レストランや観光農園を経営する農家から困惑の声が上がっている。食料供給を担う産地やスーパー、直売所などは基本的に営農・営業を続けるが、農家が経営する飲食店や観光牧場などについては継続するかどうか悩んでいる。既に予約の激減などで経営は大打撃を受けており、死活問題だ。最大限の対策を取りながら当面は営業を続ける農家が多いが、先行きへの不安が募っている。
対策重ね開店決断 千葉の農家レストラン
7日にリニューアルオープンを迎えた千葉県我孫子市の直売所に併設した農家レストラン「旬菜厨房 米舞亭(しゅんさいちゅうぼう・まいまいてい)」。本来は地元の客や農家、市の担当者らとオープンを祝うつもりだったが、新型コロナウイルスの拡大を防ぐための対策として、一切の告知やPRをしなかった。
緊急事態宣言後も、運営は継続する。レストランを運営する農家らでつくった「(株)あびベジ」代表で、農家の大炊三枝子さん(64)は「本当に悩んだ。農家の所得向上につながり、市民の憩いの場でもある。(密閉、密集、密接の)3密にならない環境なので、何とか粛々と運営していきたい」と見据える。
宣言が取り沙汰された6日、今後の方針について市農政課と急きょ協議した。店舗の側面は窓を開ければ換気が全面的にできる環境であることや、市内で感染が拡大していない状況を踏まえ、継続を決めた。ただレストランの営業時間は午後3時までとし、2時間短縮する。
店舗の近くは散歩できる広場で、地元食材を使ったレストランのメニューは市民から人気が高い。客からは経営継続に対し、「シャットアウトになれば居場所を失う人も出てくるので、ありがたい」(74歳の男性)といった声が上がる。
3年前にオープンした直売所と農家レストラン。何とか軌道に乗ってきた矢先に新型コロナウイルス問題が浮上した。ただ、直売所の必要性は高まっていると気を引き締める。大炊さんは「食料自給を担う農家の役割、地産地消の大切さを改めて感じている」と考える。
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース