NHKをぶっ壊す-。こう訴えて国政進出を果たした「NHKから国民を守る党」(N国党)が丸山穂高衆院議員の獲得に成功し、着実に勢力を拡大している。立花孝志代表は渡辺喜美参院議員ら無所属議員を中心に連携を呼びかけており、どこまで輪が広がるかが注目される。
「ドラフト会議で希望選手を獲得した監督のような気持ちだ」
立花氏は29日の記者会見でこう語り、丸山氏の入党に頬を緩ませた。参院選前からラブコールを送っていたことを明かした上で「ポテンシャルが高く、政治ができる人だ」と今後の活躍に期待を寄せた。
N国党は平成25年に誕生し、現在27人の地方議員を抱える。先の参院選では「NHKをぶっ壊す」を合言葉に、受信料を払った人だけがNHKを視聴できるようにする「スクランブル化」を主張。一言も発しない公認候補らによる奇抜な政見放送も話題となり、比例代表で98万票を集めて立花氏が当選、念願の国政進出を果たした。
立花氏は、元秘書への暴行疑惑が出ている自民党の石崎徹衆院議員や、元秘書の女性からセクハラ被害を告発された青山雅幸衆院議員ら計12人に入党を呼びかけている。なりふり構わぬ人集めにインターネット上では投票を後悔する書き込みも出始めているが、立花氏は「政治は数だ」ときっぱり。参院選選挙区で得票率2%以上を獲得し、すでに政党要件は満たしたが、一般的に「政党」と認知される党所属議員5人を満たしてNHK番組「日曜討論」に出演し、主張を広げたい考えだ。
しかし、肝心のNHKのスクランブル化は閣僚から否定的な意見が相次いでいる。菅義偉官房長官は23日の記者会見で「公共放送としての基本的性格に影響を及ぼすこととなり、慎重な対応が必要だ」と強調。放送業界を主管する石田真敏総務相も懸念を示す。
スクランブル化自体はN国党が誕生する前から一定の共感を集めているが、災害報道や政見放送など公共放送の社会的使命を重視する政府・与党の理解を得るのは簡単ではない。
立花氏は記者会見で菅氏に面会を申し込んだことを明らかにし、直談判する構えだ。スクランブル化を条件に安倍晋三首相が目指す憲法改正に賛成する考えも示しており、今後、自民党を巻き込んだ議論に発展する可能性もありそうだ。(広池慶一)
【関連記事】
Source : 国内 – Yahoo!ニュース