独自
山田みう 有元愛美子
死産だった乳児を河川敷に遺棄したとして、父親でベトナム国籍の男性が6月、埼玉県警に逮捕された。男性は9日後に釈放されたが、警察への通報や火葬など、日本で必要な手続きは逮捕後に知ったという。なぜ我が子を河川敷に「埋葬」することになったのか。男性が取材に、その経緯を語った。
発端は、6月20日午後11時ごろのことだったという。
「タイ!」。就寝中だったグエン・ロン・タイさん(34)は、妊娠21週目の妻(28)の緊迫した呼び声で目を覚ました。
泣き崩れる妻の両手のひらの上に、小さな乳児の姿があった。10月の出産予定日をともに心待ちにしていた、第3子だった。妻がトイレで用を足そうとしたら、便器に落ちてきたという。すでに息はしていなかった。
母国の大学を出て建設業界のエンジニアとして働き、家族のために稼ごうと技能実習ではない就労ビザで来日して5年になる。日本語は不得手だ。月給は28万円。10万円を家族に送った。妻も1年半前、5歳と7歳の子をタイさんの両親に預けて来日し、支えてくれていた。だが2人とも、自宅で死産した場合に日本ではどう対応していいのかわからなかった。取り急ぎ、タイさんが母国の義母に電話をかけて相談すると、涙声でこう言った。
「すぐに広い場所に埋めてあげなさい。お金とあなたたちの洋服も一緒に入れてあげるのよ」
「パパとママとベトナムに帰ろうね」
広い場所……。自宅から車で…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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