東日本大震災は、教育現場にも大きな課題を突きつけた。宮城県石巻市では大川小学校で74人の児童が死亡・行方不明になった。一方で、岩手県釜石市では防災教育の成果もあり、多くの小中学生が助かった。津波が予想される全国の学校で、ソフト、ハード両面での模索が続く。
震災後に新たなハザードマップ
「わー、ぬれちゃう」
「下がって下がって!」
1月中旬、神奈川県逗子市の逗子海岸に、私立聖マリア小学校の児童の声が響いた。子どもたちは波が来るたびに後ろに跳びはね、砂浜に穴を掘ったり、手作りのたこを揚げたりして遊んだ。全校そろって海に出かける「海に行く日」だ。
同校は海岸から約400メートルの距離にある。震災前から、理科や総合学習、マラソン大会、砂の作品作りなどで、海を活動の場にしてきた。
だが、東日本大震災で活動の見直しを迫られた。震災前の市のハザードマップでは、学校は津波の浸水想定区域の外だったが、震災後に作られた新たなマップでは、6メートルの津波が想定されるようになった。「学校防災のあり方を根本から問い直した。震災後数年はほとんど防災に専念した」と門家誠校長は振り返る。
3階建ての校舎は屋上の高さが…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル