1度は消える運命だったモザイクタイルが、1千人の「善意」で再び人々の注目を集めることになった。1世紀前に焼かれた貴重なタイル。取り壊しが決まっていた愛知県常滑市の製陶会社の見本室にあったが、保存に向けて立ち上がった有志の熱意で、市内の別の場所に移された。
3月、同市かじま台2丁目の福祉施設「ワークセンターかじま」の前庭で32面のタイルが披露された。「杉江製陶所 タイルテラス」と名付けられた。見本室の床を彩った時と同じレイアウトで復元された。
「一つの奇跡だと思う。この上でひなたぼっこをしたり、寝転んだりしていただければ」。タイルを寄贈した杉江明子さん(53)は感慨深そうに話した。製陶所を営んでいた父親が2020年に亡くなり、見本室を含む工場は22年に取り壊された。
今回の移設で欠かせない役割を果たした2人がいる。
一人は、東京都杉並区のフリー編集者、加藤郁美さん。タイルに関する著作もある。18年に常滑市を訪れ、たまたま見本室を見つけた際、杉江さんの父親から1923~28年にかけて自社で焼いたタイルだと説明を受けたという。
加藤さんは、杉江さんや、杉江さんの母親の節子さんに「(タイルファンの)みなさんの目に焼き付けましょう」と見学会の開催を持ちかけた。400人以上が来場すると、「保存を訴えるクラウドファンディング(CF)を立ち上げましょう」と背中を押した。
有志による「タイル保存活用…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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