1個だけ売れ残った指輪の運命 「物が持ち主を選ぶ」と感じた瞬間に

 漫画家・関口かんこさんの趣味のひとつが「指輪作り」だ。

 始めたのはコロナ禍になった2年ほど前。

 もともと宝石や鉱物が好きで集めていたが、「これを身につけてみたい」という石と出会い、指輪を作ることにした。

 工作のように無心で手を動かすのが楽しくて、すっかりはまってしまった。

 台座は業者から仕入れたり、海外から取り寄せたり。

 自分で集めた石との相性を考えながら組み合わせているうち、指輪は150個ほどになっていた。

 昨年8月、東京ビッグサイトで開催されたイベントで販売することに。

 当日は指輪50~60個をメインに、手作りのネックレスやピアスも出品。

 事前告知のツイートが拡散したこともあって、多くの人が見に来てくれた。

 てっきり暇だろうと思って小説を2冊も持ち込んでいたのに、開場から1時間半ほどは座る暇もなかった。

 どんどん売れてゆく中で、唯一最後まで残ったのが赤い天然石の指輪だ。

 良い石を使っているし、可愛く作れたと思ったのになんでだろう?

 「こんなにたくさんの人が来てくれたのに、誰にも選ばれないなんて……。かわいそうに」

 そんなことを思いながら、ブースの撤収作業をした。

 それから約5カ月後、売れ残った赤い指輪の行き先が決まることになる。

 「物が持ち主を選ぶことって…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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