アリ探究家、アリマスター、アリ捕り名人――。そんな呼び方をされる島田拓さん(40)は高校を中退後、東京の都心でアリ専門の通信販売会社を立ち上げ、今年で21年になる。妻の「アリだけで食べていけるの?」という心配をよそに、今も注文はひっきりなしだ。
東京都内の近所の公園に朝晩通うのが日課だ。首に手製の吸虫管をぶら下げ、草むらに入り込む。接写用のマクロレンズを付けたカメラを手に、地面にはいつくばる。目当てはアリだ。44種のアリの生息を確認した。
「ただの小さな虫と思われているかもしれませんが、巣の中で子育てをしたり、仲間同士で助け合ったり、人間と同じように暮らしているんですよ」と目を輝かせる。
アリの巣は土の中ばかりではない。樹木や地面に落ちた木の実の中にも。地面をじっと観察し、様々な種類を見つけ出す。
アリ探究家、アリマスター、アリ捕り名人――。そんな呼び方をされる。2001年にはアリ専門の通信販売会社「アントルーム」を設立し、撮影した写真の貸し出しや本の執筆、講演活動も引き受ける。
会社では捕った女王アリを扱うが、主力商品は「蟻(あり)マシーン」と名付ける手作りの飼育ケースだ。粘土で大小の巣穴の型を作り、石膏(せっこう)を流して固める。一つずつヤスリで削って丁寧に仕上げる。ガラスをはめ込んであり、巣の中の生活が観察できる。
週30~50個のペースで作り、年間1500個前後売れる。一つ7千円以上するが、サイトに「入荷」と書き込んだ直後に売り切れとなることもしばしば。だが、「商売は得意ではないし、売り上げももっと伸ばそうという気はないんです」と謙遜する。
アリに強い関心を持ったのは…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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