約1億年前のホタルは「深緑色」に光っていたと推定されると、中部大(愛知県春日井市)や長浜バイオ大(滋賀県長浜市)などの研究チームが発表した。現生のホタルが持つ発光酵素「ルシフェラーゼ」をもとに、当時の発光酵素を「復元」したという。「失われた過去の光景をカラフルに復元できた」と説明している。
ホタルは現在、約2200種いるとされる。発光物質「ルシフェリン」は同じだが、種によって「ルシフェラーゼ」が持つ約550のアミノ酸の配列が異なるため、黄や緑など多彩な色で光る。ホタル科の昆虫は約1億年前の白亜紀のころに地球上に現れ、その当時から発光能力を持っていたと考えられているという。
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研究チームは、約30種の現生ホタルのルシフェラーゼをもとに「祖先配列復元」という手法を応用。時間とともに変化してきた配列を逆にたどり、約1億年前の配列をはじき出した。その当時のルシフェラーゼをつくり、ルシフェリンと反応させると深緑色になった。計算上、93・5%の確率で復元できているという。
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ホタルは毒も持っており、緑色の光は捕食者に対する警告とされる。発光は雄と雌のコミュニケーションの手段としても使われるようになり、多彩な色になっていったとみている。
中部大の大場裕一教授(発光生物学)は「深緑色に発光するホタルから、種が分かれていく過程で色の異なるホタルが現れた。さらに研究を進めると、ホタルの発光の進化を解き明かすことができるかもしれない」と話している。
この成果の論文は、米科学誌サイエンス・アドバンシズ(https://advances.sciencemag.org/content/6/49/eabc5705
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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