1円玉よりも小さい直径1・2センチの印鑑。判を押して現れるのは、なんと87文字の文章。昨秋、ツイッターで話題になった。国の「脱ハンコ」宣言で、印鑑業界は逆風にさらされている。この87文字には、職人たちの意地とプライドが込められていた。
印鑑を作ったのは、松江市にある創業半世紀の「永江印祥堂」。従業員は60人ほど。きっかけは、同社の公式ツイッター担当者、「中の人」のある発見だった。
昨年10月、注文を受けたある会社の長い部署名の印鑑を、自社の職人たちが作っているのを目にした。「こんなに小さい字が彫れるんだ」「この高い技術力をたくさんの人に見てもらえれば、印鑑に関心を持ってもらえるし、PRにもなる」
3年前、業界に衝撃が走った。河野太郎・行政改革担当相(当時)が行政手続きでの「脱ハンコ」の方針を表明した。「正直、仕事がなくなると思いました」(中の人)。だからこそ、職人たちの技術の粋を見てもらいたかった。
「やってほしいことがあるんです。絶対に断らないで!」。中の人は、“80文字”の文章が書かれた紙を手に職人に頼み込んだ。
話を聞いた職人の1人、村尾直樹さん(48)は戸惑った。これまでに作った企業の印鑑は長くても40文字程度。80文字は未知の世界。
ハンコ業界に逆風が吹き荒れる中、職人たちは立ち上がります。そして思いもよらない反響が…。記事後半で紹介します。
1文字に使えるのはわずか1㎜四方
「文字が彫れただけではだめ…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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